第46回児童・生徒全国木工工作コンクール審査結果

昨年12月に岩手県大会で最優秀賞を受賞した作品が,全国大会で中学校部門の最高賞にあたる「農林水産大臣賞」を受賞しました。総合文化部の須川結衣さん,鷹觜なるみさん,中村ゆきかさん,平沢里梨香さん,藤原琉輝也さん,本当におめでとうございます。
ここに改めて,制作に取り組んだ生徒たちの声を紹介します。

●作品を創ってみて

レーザーカッターで自分たちの原画通りに形を切り抜くことが出来たので,楽しかったです。1枚1枚の絵を重ね合わせたら奥行きのある世界が出来たので,感動しました。4人で描いた本を開いて4隅に立てて,本の中の空想の世界をのぞき見れるようにしました。その中に柱と木に巻きついていた蔓の木を立てると,上空につながる空間が出来ました。すると,渦巻く木が天に昇る龍のように見えてきたので,上に雲の透かしのあるドーム状の天井をつくって,その下に雲を浮かべることにしました。そして,雲の下の空間がぽっかり開いたので,そこにお寺の天井にあるような天蓋を吊るすことにしました。つくっていくうちにどんどん発想が広がり,面白い作品になったと思います。

●一番見てほしいポイントは

この作品は,4つの本のページから天上へと続く空想の世界を表したものです。「葵」は一部屋に閉じ込められた人間たちの物語です。「海」は水の世界との出会いと別れの物語です。「風」は美しい和の国を巡る旅の物語です。「愉」は森に住む妖精と愉快な仲間たちの物語です。地面や空間には本の世界から飛び出した物語のかけらを,4本の渦巻きの木にはそれぞれの物語の主人公を配しました。天上では飛天が雲に乗って音楽を奏でています。その調べに誘われて4本の木は天に昇って龍になり,風雲を起こすことを表現しました。

●苦労した点は

絵をカットして重ねて見たら中があまり見えないものがあったので,中が透けて見える絵に修正したところです。本のページを重ねても構図のまとまりを保つのが難しかったです。絵によっては切り抜くと細くて壊れやすくなってしまったので,丁寧に取り扱う必要がありました。本のページを数枚合わせて接着した後,それが垂直に立つようにベルトサンダーをかけるのが意外と難しかったです。本のページを1枚ずつ挟めて止めようとしてつくったパーツは,時間をかけてつくったのに板がうまくはまらず,ボツにするしかありませんでしたが,一部を使って糸巻きにつくりかえました。主人公のキャラクターは原画どおりでは大きすぎたので,本から抜け出してきたようなサイズに縮小しました。 ピアノ線でパーツを固定する時,下穴が小さいためにすぐに見失ってしまい,差し込むのに苦労しました。天蓋から吊るした八芒星と木のビーズ球は,紐で吊るしたら斜めになってしまったので,軸を竹籤にして斜めにならないように固定しなおしました。天蓋の外枠の下が寂しかったので,ジブリ映画「かぐや姫」に出てくるような雲に乗った飛天を最後に吊るして,ようやく完成形にすることが出来ました。

●木に触れてどうでしたか

木を使った大きな作品をつくるというのは初めてでしたが,木の机や椅子とは少し異なる柔らかい感触を味わいました。木の色合いも生かしたかったので,彩色は部分的にすることにしました。レーザーカッターで加工すると,硬い木がくねくね曲がることに驚きました。苦手な作業もたくさんありましたが,それを乗り越えて,この作品を仲間や先生たちと共につくり上げることが出来ました。部活動でこのコンクールに初めて挑戦したことは,新鮮でとても楽しかったです。レーザーカッターを利用した作品づくりは,機会があればまたやってみたいです。